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2015年11月17日

ノーベル化学賞
DNA修復機構の素晴らしさ

 今年のノーベル化学賞は「DNA修復機構の研究」でしたね!! 「生理学・医学賞、物理学賞に続いて3連続日本人受賞ならず…」という報道が強すぎて、 「DNA修復機構の何がすごいの?」と疑問に思った方も少なくないでしょう。 そこで、敢えてノーベル化学賞を取り上げて「DNA修復機構」の素晴らしさを伝えていきます!!

 そもそも「DNA修復機構」とは何でしょうか? DNAとは、A、T、G、Cの4種類の物質から構成されています。 これら4種類の物質は「塩基」と呼ばれます。図1の塩基を上下交互に見ると、「AとT」、「GとC」のペアで成り立っています。 しかし、細胞がDNAを作る時、なんらかのミスを犯したり、紫外線、放射線による影響を受けたりすると、図1-①のように、間違った塩基(灰色部分)が生じることがあります。

こうした異常事態が発生すると、細胞はこの間違った塩基を取り除き、正しい塩基を取り込む作業を行います。(図1-②、図1-③)この一連の働きのメカニズムを「DNA修復機構」といいます。 私がぜひ皆さんに知ってもらいたいのは、この「DNA修復機構」の超・超・超(×∞)高度な正確さなのです!! 皆さんは「ヒトが単純な作業を行った場合、エラーが発生する確率」はどのくらいかご存知でしょうか? 単純な作業とは、例えば、会報印刷の時、「ひたすら手作業で紙を折る」ことです。 この時、間違った向きで紙を折ってしまったり、ページが一部抜けてしまったりすると「エラーが発生した」とみなします。実はこの確率は100分の1と言われています。これに対し、細胞がDNAを作る時に、DNA修復機構が間違った塩基を見逃す(=修復に失敗する)確率は10億分の1だそうです。もはや天文学的な数字ですねぇ(笑)。えっ、何?この確率の数値が想像できないって?そんな方のために、以下の表に面白い確率をまとめました。つまり、表によると、DNA修復機構が間違った塩基を見逃す確率は、雷に打たれる確率よりも極めて低いのです(笑)。

このDNA修復機構の高度な正確さによって、私たちは紫外線や放射線によるDNA損傷から守られているのです。 さあ、DNA修復機構の素晴らしさに気付いた皆さん、これからは毎日、DNA修復機構に感謝しながら生きていこうではありませんか!!(ドヤッ)




---------------------------------------執筆者----------------------------------------

 ふっく
 大学生

 生物について勉強中.
 なぜかマッドサイエンティストと
 呼ばれてるのですよ,フフフ
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